プラザ広場の中央にそびえるオベリスクとそこに立つ鹿。鹿の角に生えた木の形は、人工の空間であるプラザ広場に自然の生命力を与え、拡張させる。親しみがあり見慣れた素材である鹿と木を形態的類似性によって結びつけ、鹿の角が育ちやがて木になるという幻想的なの場面を、人々の行き交う活動空間である広場に演出することにより、見る者すべてを魅了するとともに独自の芸術性を感じさせる。
キム・ミョンボムは、「私たちが遭遇しうる全てのものには固有の魂がある」という信念を制作の根幹としている。彼の作品において事物は「生」という時間の連続線上に配置されており、自然物をはじめとする多様なオブジェを特有の方法で重ね合わせることにより、その隠喩的な意味の連結を視覚化する。これによってキムの作品は、見る者に新たな想像力を吹き込むと同時に、生のサイクルの中で、自分自身と日常、そして環境が持つ連結について示唆を与える。